コーマ綿の反物1反の地色をレマゾール染料の青味の黒でしっかり染めてから半分に切って1/2反づつ、それぞれスレンの黒で抜染と同時に染めた6列屏風畳み正三角形のパターンの雪花絞りです。
スレンの黒の染料は苛性ソーダとハイドロの溶液で薄めています。
今まで反応性染料はプロシオンMの低温染色しか使ったことが無かったのですが、これで1反分濃色に染めるのはあまりにも効率が悪いため、60℃ぐらいに温度を上げて染めるレマゾール染料を選んでみました。
ぬれているときは真っ黒に染まったように見えましたが、1回の浸染で真っ黒にはならず、乾かしてみると、学生服のような濃紺に染まっていました。それでもプロシオンMよりは、ずっと効率よく濃く染まりました!
これを折りたたんで締め、スレン染料の黒で抜染をかねて雪花の模様を染め出します。
抜染染色で雪花の模様を染め出すスレン染料の黒は、薄めたほうが面白い染まり方をするのではないかと思い、苛性ソーダとハイドロの溶液を後から足して薄めました。染色温度も、通常のスレン染料の染色より高め、70℃ぐらいに上げました。
下の中央の大柄の雪花絞りは紙布の反物です。こちらの地色は低温染色のプロシオン染料で染めています。大体黒っぽい地色に染めていますが、茶色やグリーンなど、何色か重ねて、濃いグレーにした地色です。色の抜けたところは予想以上にビビットな黄色になりました。両端のコーマ綿(地色がレマゾールの黒)とはぜんぜん違う色に抜けています。
抜染染色に使ったスレン染料の状態はほぼ同じです。左端が1番、右端が2番、中央が3番の順番で染め、4番目が上の右側の雪花絞りです。
左端を最初に染めてから、右端を染め、ハイドロを少量追加してから、中央の大柄を染め、最後に再びハイドロを少量足して上段の右を染めました。
最後の雪花絞りだけ、色の抜け方が弱まり、紫みの色が現れています。1回抜染染色するごとにハイドロの効力は弱まるのではないかと思っていたので、1回ごととに少量のハイドロを追加しながら作業したのですが・・・4番目だけ色の抜け方が弱いのはなぜ?
ハイドロはちゃんと足しているので、たぶん染めてから開くまでの時間が短すぎたのかもしれない。他は吸い込んだ染料がさめてから開いていたのですが、これはまだかなり熱いうちにに冷まさずすぐに開いてしまったからではないか?
開いたとき、ほとんど色が抜けていないように見え失敗かと思いましたが、洗っているうちに紫味がかった模様が浮き出してきて、ほっとしました。
細いシャープな線を残そうとするより、こちらの形に残す雪花絞りの方が、極端な失敗が少なくリスクが低いと思いました。
桜の花びらのような形になるので、もう少し明るい春らしい色目で、お花見に着られる雪花絞りも染めてみたいと思いました。
中央大柄の雪花絞りはあまりにもコントラストが強く感じたので、草木の染料を重ねて、色を和らげてみたくなりました。
淡い柿渋を重ね、アルミ媒染してから、反物の半分は西洋茜、他の半分はエンジュを重ねました。
西洋茜を重ねた左側は金茶のような色になって、かすかに色味が違います。
雪花絞りは同じパターンの繰り返しなので、どこかで崩してみたくなったのですが、着物に仕立てたときどう出るでしょうか?
確かめてみたくて、ボディーに着せてみました。
かすかな色身の違いですが、上前をどちらの色にするかで多少印象が変わるかもしれません。
やはり、抜染しただけの色よりかなり落ち着いていると思います。
美濃紙を横糸に織ったというこの反物はコーマ綿より厚手で、その分染料ののりも良く、深みのある色が出せたと思います。
秋冬に着られる着物になりそうです!
この反物は愛知県西尾の呉服店、あづまやさんからお預かりして試し染めしたものです。